2020年10月14日 をさなき思ひ出 1 おれはよく山へ登つた 山にはいろんな花がさいてゐた 気の遠くなるやうな深い谷があつた そこでよくねころんだ そのゆめのあとが ふいと今のおれの胸に残つてゐて 緑緑ともえてゐた 2 松並木は果もなかつた 僕はいつもとぼとぼと歩いて行つた そのやうに海は遠かつた 僕はいつも泣きながら歩いた 歩いても歩いても遠かつた 僕は海の詩をかいて都へ送つた あれからもう十年は経つて了つた (室生犀星) Tweet Share on Tumblr 名前: URL: コメント: 上の画像に書かれている文字を入力して下さい <ご注意>書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。 確認せずに書込